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社内ベンチャーとは?目的・作り方・社内起業制度の設計ポイントと成功のコツ
社内ベンチャーとは、既存の大企業の中に独立した組織を作り、本業の資金や人材、信用力を活かしながら新規事業開発に取り組む仕組みです。自分でゼロから会社を立ち上げるのとは違い、母体企業のリソースを使える点が大きな特徴です。本記事の要点は次のとおりです。
- 社内ベンチャーは、既存事業の延長線上にない新規事業を社内資源で創り出す取り組み
- 目的は新規事業開発、資産活用、人材育成、企業文化の醸成の4つが中心
- 社内起業制度の設計では、ステージゲート、出資比率、撤退基準、権限分離が重要
- 成功事例には無印良品やスタディサプリ、清水建設のカーブアウト型制度がある
●目次
企業内で独立し新規事業開発に取り組む社内ベンチャー
社内ベンチャーの定義と社内起業制度
スタートアップ・子会社・カーブアウトとの違い
イントレプレナー(社内起業家)の役割
社内ベンチャーを作る4つの目的
新規事業開発による収益源の拡大
既存アセット・ノウハウの有効活用
イントレプレナー人材の育成
チャレンジを促す企業文化の醸成
社内ベンチャーの2つの立ち上げ型
経営層主導のトップダウン型
社員発案のボトムアップ型
社内ベンチャーのメリットとデメリット
運営側・企業側のメリット
見落とされがちなデメリット
デメリットを乗り越える打ち手
社内起業制度の設計ポイント
ステージゲートと審査基準の設計
出資比率と報酬・インセンティブ設計
撤退基準とセーフティネットの整備
ガバナンスと意思決定権限の分離
社内ベンチャーの進め方5ステップ
STEP1 目的とゴールの明確化
STEP2 アイデア公募とチーム組成
STEP3 独立組織化と資金・権限付与
STEP4 仮説検証と外部評価の取得
STEP5 事業化・スピンアウト判断
社内ベンチャーの成功事例と失敗の落とし穴
無印良品・スタディサプリに見る成功要因
清水建設「セコナレ」に学ぶカーブアウト設計
失敗を招く典型パターンと回避策
企業内で独立し新規事業開発に取り組む社内ベンチャー
- 社内ベンチャーの定義と社内起業制度
社内ベンチャーとは、大企業の中にあたかも独立した会社のような組織を作り、新規事業開発に取り組む仕組みを指します。
グロービス経営大学院によると「既存事業の流れの中では出てこない事業、すなわち既存事業の延長上にはない新規事業を、社内資源を活用して創造する努力」を総称するものと位置づけられています。大企業内で自主的な新事業創造の活動を行う組織集団を作り、本社が全面的にバックアップする組織形態として説明されます。社内起業は自社の中で独立した組織を立ち上げる行為であり、ゼロからのスタートとは異なり、既存の資金やノウハウなどのリソースを活用できる強みがあります(参照*1)。
社内起業制度とは、こうした新規事業提案の仕組みをアイデア提案制度まで含めて社内に組み込んだ枠組みを指します。制度として運用することで、個人の思いつきではなく、組織的なプロセスとして新規事業を生み出せるようになります。
- スタートアップ・子会社・カーブアウトとの違い
社内ベンチャーは、独立系スタートアップや通常の子会社、カーブアウトと近い部分がありながら、意思決定の主体や資源の出所が異なります。
母体企業から切り出されるベンチャー企業は「コーポレート・ベンチャー」と定義され、大きく「社内ベンチャー」と「スピンオフ・ベンチャー」の二つに分けられます。社内ベンチャーは母体企業の内側で新規事業を進める形態です。一方、子会社は親会社の決定権が強く働きますが、社内起業は「ボトムアップ型」で従業員が主導してアイデアを企画し事業化する仕組みであり、決定権のあり方が子会社とは異なります(参照*2)。
独立系スタートアップとの違いは資金と信用力の出所です。ゼロから資金や採用を行う独立起業に対し、社内ベンチャーは母体企業の資金力や実績を活用できます。読者が制度を検討する際は、事業の切り出し方と決定権の所在を先に整理しておくと選択がしやすくなります。
- イントレプレナー(社内起業家)の役割
社内ベンチャーを動かす中心人物が、イントレプレナーと呼ばれる社内起業家です。
イントレプレナーとは社内起業家のことであり、新事業を進めるにあたってリーダー的存在になる人材を指します。社内ベンチャーという新しく独立した組織を作ることで、既存の部署内で活躍できなかったり、これまで発言の機会がなかった若手が活躍できる可能性があります。自由度が高く、これまでの枠組みにしばられずに新規事業の提案ができるため、主体性があり、ビジネスにビジョンを持っている人材が増え、モチベーションアップにつながります(参照*3)。
実務上、イントレプレナーは事業構想だけでなくチーム組成や社内調整も担います。制度側は、こうした役割を明確に位置づけ、権限と情報をきちんと渡すことが重要になります。
社内ベンチャーを作る4つの目的
- 新規事業開発による収益源の拡大
社内ベンチャーを立ち上げる第一の目的は、新規事業開発による収益源の拡大です。
社内ベンチャーの目的として、主に4つが考えられており、その一つが新たな事業領域で利益を拡大させることです。加えて、社内ベンチャーの実施理由として、新規事業への進出が挙げられています(参照*4)。既存事業の延長線上では取りにくい市場や技術領域に踏み込むことで、母体企業の事業ポートフォリオを広げるねらいがあります。
収益源の拡大を目的に据える場合、既存事業との重なりだけで発想が狭くならないよう、テーマ設定の段階から視野を広く取ることが重要です。
- 既存アセット・ノウハウの有効活用
第二の目的は、母体企業が持つアセットとノウハウを新規事業に転用することです。
社内ベンチャーの目的の一つとして、資産を有効活用することが挙げられています。社内の既存資産の有効活用も、社内ベンチャーが実施される主な理由の一つとして整理されています(参照*1)。技術、顧客基盤、ブランド、販路といった資産は、独立系スタートアップにはない強みになります。
眠っている資産をどう新規事業に接続するかを、テーマ選定の段階で意識的に検討することが求められます。
- イントレプレナー人材の育成
第三の目的は、次世代を担うイントレプレナー人材の育成です。
社内ベンチャーの目的には、新規事業の創出、人材育成、組織の活性化の3つがあると整理されており、これらの目的のどこに重点が置かれているかは、企業のおかれた時代背景、状況、企業の持つ組織文化等によってまちまちであると考えられます(参照*5)。人材育成の目的では、事業を通じた実践の中で経営視点やリーダーシップを鍛えるねらいがあります。
座学だけでは身につきにくい経営判断の経験を積める点が、社内ベンチャーを人材育成の場と位置づける根拠になります。
- チャレンジを促す企業文化の醸成
第四の目的は、挑戦を後押しする企業文化の醸成です。
社内ベンチャーの目的として、チャレンジできる風土づくり、ポジティブな企業文化の醸成のためという点が挙げられています。あわせて、チャレンジ精神を持つ人材の育成も社内ベンチャーが実施される目的の一つに位置づけられています(参照*4)。制度そのものが存在することで、社員が新しい提案を出しやすくなります。
文化を目的に置く場合は、成功事例だけでなく、応募や挑戦そのものを称える運用設計が有効です。
社内ベンチャーの2つの立ち上げ型
- 経営層主導のトップダウン型
経営層主導のトップダウン型は、経営の意思で新規事業テーマを定めて社内ベンチャーを立ち上げる方式です。
社内ベンチャーの設立タイプには、経営層主導のトップダウン型と従業員主導のボトムアップ型の2種類があります。トップダウン型とは、企業の経営層が主導になって、社内ベンチャーを作る方法であり、既存事業との親和性が高い事業で社内ベンチャーを設立する場合は、トップダウン型が向いています(参照*3)。経営戦略上のテーマを明確に設定できるため、経営資源の集中投下がしやすい方式です。
実務では、経営が求めるゴールと現場の裁量の線引きを制度設計の段階で明確にすることが求められます。
- 社員発案のボトムアップ型
ボトムアップ型は、社員自身がテーマを企画して事業化に取り組む方式です。
ボトムアップタイプは、事業テーマの社内公募や社内ベンチャー制度を利用し、社員自らがテーマを企画して事業化に取り組むパターンです。発案する挑戦者の情熱が強い傾向があり、事業化への強い推進力を持つだけでなく、企業にとって未知の可能性を広げられるメリットがあります(参照*4)。子会社との比較で見ても、社内起業はボトムアップ型というスタイルで従業員が主導してアイデアを企画し事業化する仕組みであり、決定権のあり方が異なります(参照*2)。
現場発の熱量が起点となるため、応募から審査までの導線と、発案者に権限を渡すルールを整えることが要点になります。
社内ベンチャーのメリットとデメリット
- 運営側・企業側のメリット
社内ベンチャーの最大のメリットは、母体企業の資源と信用を新規事業に活用できる点にあります。
自分で起業する場合は、一から資金を用意したり、従業員を採用したりする必要がありますが、社内ベンチャーの場合は母体となる自社の資金力や人的資本を利用できるため、コストを抑えた起業が可能になります。事業を行う上で重要となる信用力についても、自社が本業でこれまで培ってきた実績を利用できるため、ゼロからのスタートとはなりません(参照*3)。社員側から見ても、前向きなチャレンジ精神が芽生え、企業の名前を使え、莫大な資金援助を受けられる点がメリットとして挙げられます(参照*5)。
資金、人材、ブランドの三つを活用できる点は、独立系スタートアップにはない優位性です。制度側は、この優位性が実際に発案者へ届く運用設計にすることが重要になります。
- 見落とされがちなデメリット
社内ベンチャーには、母体企業の中にあるからこそ生じる固有のデメリットがあります。
社内起業のデメリットとして、新事業に失敗した場合は損失になること、優秀な人材を既存事業から外すリスクがあることが挙げられます(参照*2)。社内ベンチャーの場合、事業を開始するためには取締役などの承認を必要とすることが多く、多大な時間を要する事態が見受けられます。自社の既存資産とのシナジーを考えて事業展開を検討しがちになったり、既存事業とのカニバライゼーションを気にして、事業を発想する視点が狭くなることもあると指摘されています(参照*1)。さらに、企業側から短期間で成果を上げることを期待される、成功率が低い、関連した技術を保有する事業部門からの協力が得られない、といった課題も挙げられています(参照*5)。
承認プロセスの重さ、発想の狭さ、既存部門との軋轢は、制度設計の初期から想定しておくべき論点です。
- デメリットを乗り越える打ち手
デメリットを軽減するためには、投資と評価の仕組みを段階的にすることが有効です。
投資した資金やリソースが無駄になり損失となってしまうというデメリットに対しては、最初から大きな予算を組むのではなく、事業のフェーズごとに予算を区切る「ステージゲート方式」を導入することが有効です。例えば、アイデア検証フェーズ、プロトタイプ開発フェーズ、初期顧客獲得フェーズのように段階を分け、それぞれのクリア条件と予算を定めます(参照*4)。
段階ごとに投資を絞り込むことで、失敗時の損失を抑えながら、有望なテーマに資源を集中させる運用が可能になります。
社内起業制度の設計ポイント
- ステージゲートと審査基準の設計
社内起業制度の中核となるのが、ステージゲートと審査基準の設計です。
「ステージゲート法」とは、新規事業開発などにおいて、アイデア創出から市場投入までを複数のステージに分割し、一定の要件をクリアできていたら次のステージに移行するという事業創出のフレームワークです。1986年にマックマスター大学のロバート・G・クーパー教授によって開発され、北米を中心に広く普及しました(参照*6)。予算面でも、アイデア検証、プロトタイプ開発、初期顧客獲得といったフェーズに分け、それぞれのクリア条件と予算を定めることが有効とされています(参照*4)。
審査基準を各ゲートごとに明文化しておくことで、継続と撤退の判断が属人的になりにくくなります。ステージゲートは、制度の透明性を担保するうえでも有効な仕組みです。
- 出資比率と報酬・インセンティブ設計
挑戦者のコミットメントを高めるには、出資比率と報酬設計が重要な鍵になります。
富士通の社内ベンチャー制度の特徴として最も大きいのが、出資比率であり、富士通の社内ベンチャー制度においては、常に事業を起こす企業家が過半数の出資を行う仕組みです。出資比率は企業家が51〜66%、富士通が34〜49%と定められています。評価基準は3年目の単年度黒字とされ、目標非達成時には事業の撤退、富士通との共同事業解消、富士通への再雇用保障無しといった条件が示されています(参照*7)。制度全体を設計する際は、公募方法、審査基準、予算規模、挑戦者へのインセンティブ、事業撤退基準といった要素を具体的に定めていくことが求められます(参照*4)。
出資比率をどこに置くかで、挑戦者の当事者意識と母体企業の関与度合いが大きく変わります。報酬・インセンティブ設計は、制度の性格そのものを決める部分と言えます。
- 撤退基準とセーフティネットの整備
撤退基準とセーフティネットは、挑戦の心理的ハードルを下げるうえで欠かせません。
社内ベンチャーが仮に失敗したとして、その責任をとらせる形で大きなペナルティを科すと、せっかく社内ベンチャーによってチャレンジングな社風となったのに、逆効果となってしまう恐れがあります。責任の所在を明確にしつつ、社内ベンチャーが失敗してしまった場合も、安心して従業員が戻れるような体制を整えることが必要です(参照*3)。
撤退基準を事前に明文化し、戻る場所を用意しておくことで、応募者は思い切った挑戦がしやすくなります。制度側は、失敗と撤退を「学びの一部」として位置づける運用も重要になります。
- ガバナンスと意思決定権限の分離
社内ベンチャーは、母体企業の通常のプロジェクトとは異なるガバナンスが必要になります。
海外の実務家の指摘では、多くのスタジオは弱いアイデアが原因で失敗するのではなく、ガバナンスがミッションに合っていないために失敗するとされ、意思決定権と報酬設計が主な問題であるとされます。起業家のように振る舞ってほしいチームを、社内プロジェクトのように統治することはできません(参照*8)。国内の運用でも、どんなメンバーを起用し、メンバーをどう評価するかは社内ベンチャーの責任者に委ねる方が良いとされ、人事権を一任することで、独立した組織としての意識を責任者とメンバーがしっかり持てるようになるメリットがあると整理されています(参照*4)。
母体企業の意思決定ラインから、社内ベンチャーの権限を意識的に切り離す設計が、独立した動きを支えます。
社内ベンチャーの進め方5ステップ
- STEP1 目的とゴールの明確化
最初のステップは、社内ベンチャーの目的とゴールを明確にすることです。
なぜ社内ベンチャー制度を導入するのか、会社のどのような経営課題を解決したいのかを明確にすることが起点となります。社内起業の手順としても、最初のステップはゴールを明確にすることに置かれています(参照*4)。
目的を曖昧にしたまま制度を走らせると、途中の判断基準がぶれます。着手前に議論を尽くしておくことが重要です。
- STEP2 アイデア公募とチーム組成
アイデア公募とチーム組成を行うステップです。
目的を基に、具体的な制度のルールを設計し、公募方法、審査基準、予算規模、挑戦者へのインセンティブ、事業撤退基準といった要素を定めていきます(参照*4)。公募と審査を通じて、テーマと発案者、参画メンバーを選び出す段階です。
アイデア単体ではなく、実行できるチームを組めるかまでを見極めることが、この段階のポイントになります。
- STEP3 独立組織化と資金・権限付与
第3ステップでは、選ばれたテーマを独立した組織として立ち上げます。
社内ベンチャーは、母体となる組織とは独立した組織として、会社機能を持たせる必要があります。新しい事業をはじめるためには、スピーディな意思決定が求められ、会社機能がなく自社の一部門のような位置づけでは、社内の他部署との連携が密に必要な状態となり、自由度も低く事業を進めにくくなってしまうためです(参照*3)。
資金と権限を独立組織側に渡すことで、意思決定の速度と自由度を確保できます。
- STEP4 仮説検証と外部評価の取得
第4ステップは、仮説検証を進めつつ、外部からの評価を取り入れる段階です。
清水建設のCV制度三期のポイントとして、Stage3からStage4へ進むための必須条件に「外部資金調達500万円以上」が設定されている点が挙げられます。関係者は、社内の目線だけでは本当に良いものかどうか評価できない現状があるため、外部からの客観的な評価を得る形として、VCなどからの資金調達を条件にしています(参照*9)。
外部評価をゲート条件に組み込むことは、社内の甘い評価を防ぐ有効な仕掛けになります。
- STEP5 事業化・スピンアウト判断
社内ベンチャーの成功事例と失敗の落とし穴
- 無印良品・スタディサプリに見る成功要因
国内の代表的な成功事例として、無印良品とスタディサプリが挙げられます。
大手スーパーマーケット西友の無印良品事業は、社内ベンチャーの成功例として有名であり、当時の「無印良品」が掲げたコンセプトは「わけあって、安い。」でした。このコンセプトは時代にマッチし、新事業スタートからわずか5年で年商約150億円を達成し、1995年には株式上場を果たしました。スタディサプリは、リクルートホールディングスの新事業コンテスト(Ring)で生まれた学生向けの学習サービスで、2012年に事業を開始し、教育コンテンツをデジタル化する発想が時代のニーズをつかんだ展開が評価され、2020年度の利用者は150万人を突破しました(参照*2)。
両事例に共通するのは、コンセプトが明快で、時代のニーズと合致していた点です。母体企業のリソースを活かしつつ、独立した事業としての存在感を確立できたことが成長を支えました。
- 清水建設「セコナレ」に学ぶカーブアウト設計
カーブアウトを前提とした制度設計の事例として、清水建設のCV制度が参考になります。
多くの大企業が社内新規事業制度を持つ中、清水建設のCV制度には大きな特徴があり、それは「自ら新会社を設立・経営することが前提」という点です。社内で新規事業部門を立ち上げるのではなく、最初から独立企業を目指す形をとっています。CV制度一期では応募数は当初30〜40件程度でしたが、Gate1で約半数以下に絞られ、Gate2でさらに半分になったと報告されています。CV制度一期二期ともに最終的に独立に至ったのは2社であるとされ、CV制度三期ではStage3からStage4へ進むための必須条件として「外部資金調達500万円以上」が設定されています(参照*9)。
独立を前提に据えた制度設計は、挑戦者に本気度を求める一方で、ゲートごとに厳しい絞り込みが発生します。外部資金調達をゲート条件にすることで、社内評価に依存しない客観性を確保している点が特徴です。
- 失敗を招く典型パターンと回避策
社内ベンチャーが失敗する典型パターンには、いくつかの共通項があります。
海外の実務家の指摘によると、企業はプロセスの最初の段階で、ゴールを適切に定義しないことによって失敗を招くことが多いです。スタートアップを会社からスピンアウトすべきか、新規事業ユニットとしてグループ内に留めるべきかを明確に理解することが、体制、人員、ガバナンス、資金調達を決定づける鍵となると整理されています(参照*10)。国内でも、社内ベンチャーには企業側から短期間で成果を上げることを期待される、成功率が低い、関連した技術を保有する事業部門からの協力が得られない、といった課題が挙げられています(参照*5)。
回避策としては、目的とゴールを最初に定義し、事業の出口の形を早い段階で見立てておくことが有効です。
おわりに
社内ベンチャーとは、母体企業の資金、人材、ブランドを活かして新規事業開発に挑戦する仕組みであり、社内起業制度として体系化されることで、組織的に新規事業を生み出せるようになります。目的、立ち上げ型、制度設計、進め方、事例までを一貫して見ていくと、成功と失敗を分ける要素が制度の細部に宿っていることが分かります。
特にステージゲート、出資比率、撤退基準、ガバナンスの4点は、制度を機能させる要となります。これから社内ベンチャーや社内起業制度を検討する場合は、目的の明確化から順に、自社の状況に合わせて設計を進めることがポイントです。
参照
● (*1) 創造と変革のMBA グロービス経営大学院 - 社内ベンチャー|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA
● (*2) 会社設立の基礎知識 - 社内起業(社内ベンチャー)とは?メリット・デメリットや作り方・資金調達を解説!
● (*3) 社内ベンチャーとは?メリットと設立時の注意点を簡潔に解説
● (*4) Sony Acceleration Platform - 社内ベンチャーとは?ソニーや他の企業の事例も紹介
● (*5) 組織行動変革を実現する動態モデルの提案―新規事業 提案制度に取り組む企業の事例研究―
● (*6) 株式会社Relic(レリック) - 新規事業の評価基準とは? フェーズ別の評価指標・撤退判断・人材評価まで実務で使える完全ガイド
● (*7) 社内ベンチャー制度による事業リスク抑制
● (*8) The Governance Framework for Corporate Venture Studios
● (*9) 01Channel|事業創造メディア - 清水建設発カーブアウトの舞台裏--「社内起業」から「独立」まで、制度設計が生んだ新しい起業モデル
● (*10) Global Venturing - Four critical failure points in venture building (and how to avoid them)
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